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白、コバルトブルー、グレーの表紙

書籍名

放送大学教材 日本経済の比較史

判型など

344ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2024年3月

ISBN コード

978-4-595-32475-8

出版社

放送大学教育振興会

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日本経済の比較史

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現代日本に至る経済発展を、明治維新による体制変革を起点とした、欧米先進諸国へのキャッチアップの過程として把握することは経済史の通例でした。しかし1990年代以降の世界的にも特徴的な長期経済停滞は、キャッチアップに力点を置いた経済史の叙述の限界を浮かび上がらせ、かつまた経済発展の過程が一本道ではないことも示唆しています。日本経済の成長を促し、またそれを停滞させる要因は何か。それを理解するには、日本の経済発展に固有な論理と特質を見極めることが必要になってきます。
 
その方法として本書が採用したのが「比較史」です。本書は日本経済が比較史的にみてどのような特徴を有するものであったのかを、日本の経済動態を縦軸に、欧米および東アジア諸国の事例との比較を横軸として、近世以来の400年の時間軸の中で検討しています。また日本のおかれた国際的な位置を理解するために、東アジアにおける国際関係も強く意識しました。日本経済史を研究する編者を含めた2名の研究者に、中国、イギリス、ドイツの社会経済史が専門の3名が加わった計5名が執筆陣です。このような章別構成は類書の経済史の概説にはみられないものであり、オリジナリティーの高い著作であると自負しています。
 
第1章は、近年研究が進んだGDPの歴史推計を利用しつつ、近世以来の日本経済の長期の経済動態を、ヨーロッパおよび非ヨーロッパの諸地域との比較の中で概観しています。次の第2章では16-17世紀の開放的な東アジアの国際関係の中での、日本の徳川体制の成立過程を検討しています。この章は、自由貿易体制の下でアジア交易圏に組み込まれた日本が、19世紀末以降、東アジアへ植民地・勢力圏を構築していく過程を描く第9章と対になっており、関係史の視点が強く出ています。これに対して第3章から第6章までの4つの章では、近世日本の経済社会の特徴を、家族、公共財、技術、環境・資源といった論点に即してヨーロッパ (イギリス・ドイツ)、中国との明示的な比較を通じて考察しています。世界経済史の分岐をもたらす要因となったヨーロッパの産業革命については、第7章がイギリスを中心に概観し、この産業革命を経た欧米列強のアジア進出の下で、近代日本がたどった工業化の過程を、技術移転と生産組織の多様性を論じた第8章、中央―地方、都市―農村といった空間的な領域に関わる区分に着目した第10章が扱っています。第11章、第12章では、1920年代から戦後高度経済成長期に至る日本経済の歩みが、この間の対東アジア経済関係の変動との関わりを強く意識しながら説明されています。第13章、第14章では、日本の雇用システムと福祉レジームの特質に焦点を当て、人々の生活存立と直接関係する労働やケアに関する問題を考察しています。最後の第15章では、1990年代以降の日本経済について、その動向を経済史の視点から概観しています。
 
21世紀に入り、日本経済には多く問題点が現れてきました。様々な対応策が論じられていますが、局面毎の対処療法で構造をもった経済社会の綻びをつくろうことは困難です。経済社会を構成する諸要素が、いかに歴史的な背景と構造を有していたのか。その根の深さを理解することが、そこからの脱却の道筋を確かなものにするために必要な作業でしょう。本書の試みが、こうした作業にも資するものであれば幸いです。
 

(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 名誉教授 谷本 雅之 / 2026)

本の目次

まえがき
第1章  世界の中の日本―比較経済史に向けて(谷本雅之)
第2章  近世東アジア世界と日本(村上 衛・谷本雅之)
第3章  家族と経済(谷本雅之・山本千映)
第4章  市場経済化と「公共財」供給(谷本雅之・村上 衛・山本千映)
第5章  産業発展と技術・知識の創造と普及(谷本雅之・山本千映)
第6章  環境と資源管理(飯田 恭)
第7章  産業革命と大分岐(山本千映)
第8章  日本経済の複層的発展(谷本雅之)
第9章  アジア交易圏と植民地(村上 衛)
第10章 地域社会と都市化(谷本雅之)
第11章 戦争への道―1930・40年代の日本経済と東アジア(沢井 実)
第12章 対外経済関係の再編と高度成長(沢井 実)
第13章 日本型雇用システムの歴史的形成(谷本雅之)
第14章 日本型福祉レジームの歴史的起源(谷本雅之)
第15章 グローバル化の中の日本経済(沢井 実)
 
 

関連情報

放送大学科目「日本経済の比較史」のテキストとして用いられています。同科目は半期15回のシリーズとして2024-2029年度の間、テレビ放映 (BS) されています。
 
テレビ授業科目案内 日本経済の比較史
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/01924008.html
 
日本経済の比較史第1回 - 世界の中の日本:比較経済史へ向けて
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/15396201.html
 
日本経済の比較史第2回 - 近世東アジア世界と日本
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/15396202.html
 
日本経済の比較史第3回 - 家族と経済
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/15396203.html
 
日本経済の比較史第4回 - 市場経済化と「公共財」供給
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/15396204.html
 
日本経済の比較史第5回 - 産業発展と技術・知識の創造と普及
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/15396205.html
 
日本経済の比較史第6回 - 環境と資源管理
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/15396206.html
 
日本経済の比較史第7回 - 産業革命と大分岐
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/15396207.html
 
日本経済の比較史第8回 - 日本経済の複層的発展
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/15396208.html
 
日本経済の比較史第9回 - アジア交易圏と植民地
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/15396209.html
 
日本経済の比較史第10回 - 地域社会と都市化
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/153962010.html
 
日本経済の比較史第11回 - 戦争への道―1930・40年代の日本経済と東アジア
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/153962011.html
 
日本経済の比較史第12回 - 対外経済の再編と高度成長
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/153962012.html
 
日本経済の比較史第13回 - 日本型雇用システムの歴史的形成
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/153962013.html
 
日本経済の比較史第14回 - 日本型福祉レジームの歴史的起源
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/153962014.html
 
日本経済の比較史第15回 - グローバル化の中の日本経済
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/153962015.html

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